猫の流動食の作り方!流動食の与え方・手作りする方法を紹介!
腎不全や食欲不振には流動食
犬猫を飼っていると、食欲がなく食べ物を食べてくれないこともありますよね。
猫も食欲が出ないときは、流動食を食べるとご存知でしょうか。
流動食とは、ごはんをドロドロの液状にしたもので、人で言うところの離乳食や、おかゆのようなイメージです。
出来るだけ元気に長生きしてもらいたいので「流動食は関わらないに越したことがない」というのが正直なところです。
しかし、「急にごはんを食べなくなってしまって、どうしたら良いんだろう」と困ったとき、流動食について知っておくだけで慌てなくて済みます。
では、いったいどんな時が流動食の出番なのでしょうか。
食欲不振になった場合
季節の代わり目や暑い夏など「なんとなく食欲がない」という気分の時はありませんか?
まさに猫も同じで、元気な子であっても突然食べないという事態に陥ることがあります。
そんな時は、無理に食べさせようとせずに、まずは流動食に切り替えてみましょう。
流動食にはサラサラとしたタイプのものが多いので、喉を通りやすいはずです。
食欲が戻らない場合に注意すること
数回の食事で食欲が元に戻ってくれれば問題ありません。
数日にわたり食欲不振が続く場合や、水も飲まない場合には何らかの病気の可能性もあるので、かかりつけの動物病院を受診しましょう。
猫の年齢が上がった場合
年齢が上がっていくにつれて、胃腸や消化器官が衰えていくのは、猫も人間も同じです。
若い頃はガツガツとごはんを食べていたとしても、徐々に食が細くなっていくものです。
「長生きしてほしいけれど、最近食べてくれない…」という時にも活躍してくれるのが流動食です。
あまり食べてくれなくなったシニア猫も、流動食なら食べてくれるかもしれません。
▼高齢猫の特徴についての記事はこちら!
腎不全などの病気になった場合
年齢が上がることで食欲不振になることは多いですが、それに加えて加齢によって引き起こされる病気もあります。
猫の場合7歳以上になると、腎不全のリスクがぐっと高まります。
このように内蔵に不調が出始めると、急速に食が細くなっていくケースが多いです。
そんなときも流動食を与えると良いでしょう。
猫の流動食は高カロリーが良い?
一般的に市販されている流動食は「高カロリー食」「高栄養食」のものが多いです。
その理由は、食欲不振や病気などでほとんど食べられない猫にとって流動食は生命線だからです。
市販流動食は自分で手作りすることも出来ますが、で購入した製品を使用した方が栄養バランスが調整されていることが多く、手軽に取り入れやすいのでおすすめです。
種類も豊富とあって、猫の状態に合わせて適切なものを選ぶことができます。
流動食の選び方
多くの流動食には猫に必要な栄養素がバランスよく配合されています。
しかし、中には間食(おやつ)もあるため、パッケージに『総合栄養食』と記載されたものを選ぶと良いでしょう。
総合栄養食とは、必須アミノ酸や脂肪酸、ビタミン、ミネラルなどの猫に必要な栄養素が基準をクリアしていて、それと水を与えるだけで猫の健康を維持できる食品です。
飲むこともままならない場合:液体タイプか粉末タイプ
食べるどころか、飲むことも苦しそうな場合は、「液体タイプ」か「粉末タイプ」を選びましょう。
液体タイプ
液体タイプは栄養食をジュースのようにしたものです。
既に液体になっているので、袋から出してシリンジに入れるか、スプーンなどであげましょう。
粉末タイプ
粉末タイプは、ぬるま湯で薄めて液体状にしてから与えます。
液体タイプより一手間かかりますが、猫の状態によって濃度を切り替えることが出来るという利点があります。
液体タイプも飲みたくないような状態の場合、極力薄めて作ってあげることで、胃腸に負荷をかけることなく食事を再開することができるでしょう。
飲むことはできる場合:ゲルタイプ
口元にスプーンを近づけたときに、ぺろぺろとしてくれるようであれば、ゲルタイプをおすすめします。
栄養食をゼリーで固めているので、シリンジを使わずに食べさせることができるため、とても簡単です。
高カロリーのものが多いので、少しだけ食欲が落ちているときに、普段の食事にプラスするという使い方もできます。
少し食べる意欲が出てきた場合:ペーストタイプ
食欲は落ちているものの、少しずつ食べる意欲が見られるようになってきたら、ペーストタイプがおすすめです。
ウェットフードのように缶詰に入っていることが多いですが、中はかなり液体よりです。
このペーストタイプになると、まぐろ味・かつお味などのフレーバーの幅がぐっと広がります。
少しずつ食欲が出てきた猫にとっては楽しいかもしれません。
猫の流動食の作り方
市販のイメージの強い流動食ですが、実は自宅でも簡単に手作りすることができます。
いつも食べているキャットフードに手を加えるだけなので、急に必要になった時のために作り方を覚えておくと便利です。
ここからは流動食の作り方について解説していきます。
手作りのメリット
猫によってはごはんのメーカーを替えただけで、ビックリして食べなくなる子もいますよね。
そんな敏感な猫の場合は、いつものフードをふやかした自家製流動食なら食べてくれる可能性が高まります。
手作りの注意点
気を付けたいのが、普通の食事をふやかすだけでは、流動食のキーポイントである「高栄養食」「高カロリー食」にはならないという点です。
特に介護食の場合は、食べられる量が少なくなってくるので、猫に必要な成分が足りなくなることが多いです。
猫用のサプリなどのお助けアイテムに力を借りながら、自家製流動食をレベルアップさせましょう。
ドライフードから作る場合
ドライフードから作る手順は下記の通りです。
- ドライフードをお湯でふやかします。
- ドライフードが水分を吸ってふやけたら、ミキサーにかけます。
ミキサーがない場合は、ペースト状になるまですり鉢ですりましょう。 - しっかりと冷ましてから、愛猫にあげましょう。
水分が多すぎると一回の量が増え、食べきれなくなってしまうため、お湯は少しずつ足して調節しましょう。
ウェットフードから作る場合
ウェットフードから作る手順は下記の通りです。
- フードに少しの水分を足して、ミキサーにかけます。
ミキサーがなければすり鉢ですりましょう。 - なめらかなペースト状になるよう、必要に応じて水を追加します。
- どろどろな状態まで崩れたら、愛猫にあげましょう。
高栄養素にしたい場合
あまり量が食べられない状態なので、できるだけ少量でしっかりと栄養を採ってほしいものです。
そんな時におすすめなプラスアルファのアイテムをご紹介します。
ブドウ糖
ブドウ糖をペースト状の流動食に混ぜることで、胃腸に負担をかけずにカロリーを効率よく吸収することが出来ます。
サプリ
食べれない期間が長くなってきたら、>気になる栄養素を効率よく摂取できるようにサプリを利用するのも手です。
投薬中の場合は、飲み合わせの問題が心配なので、獣医に相談してから与えるようにしてください。
シリンジで与える方法
猫が流動食も食べてくれない場合には、シリンジを使って食べさせると良いでしょう。
シリンジとは、簡単にいうと「針がない注射器」のようなペットグッズです。
中に流動食を入れて、猫の口の中にピュッと入れるイメージです。
このように、ペットが自分でご飯や水を摂取しないときや、寝たきりになって動けないときに強制的に与える方法は『強制給餌(きょうせいきゅうじ)』と言います。
どんな時にシリンジを使うの?
どうも馴染みのないシリンジですが、どんな時使う用品なのでしょうか。
ご参考までに3パターン紹介します。
赤ちゃん猫が上手にミルクが飲めない場合
保護猫など、まだ上手にミルクが飲めない子猫の場合、哺乳瓶だと大きすぎるのでシリンジを使うことが多いです。
嫌がって薬を飲んでくれない場合
ご飯と一緒にぱくっと食べてくれる場合は良いですが、賢い猫は薬を出してしまうこともあります。
そんな時に液体などに薬を溶かしてから、シリンジで口に入れ込む方法を使う場合があります。
流動食を与える場合
自分から食べようとしてくれない場合は、薬と同じように食事を口に流し込んであげる必要があります。
今回ご紹介するのは、この3つ目のケースです。
▼子猫がミルクを飲まない時の対処法についてはこちら!
飲ませ方のポイント
愛猫にシリンジを使って流動食をあげるというのは、慣れていない飼い主さんにとっては少し難しいことかもしれません。
安全に行えるように、飲ませ方の重要なポイントをご紹介します。
シリンジの持ち方
針のない注射器ということもあり、看護師が注射をするときのような持ち方(人差し指と中指で注射器を固定する形)で持ってしまいがちですが、それは間違ったやり方です。
内容物を一気に注射するには良い持ち方ですが、これだと流動食がどばっと出てしまう恐れが多いのです。
注射器を握るようにしてもち、シャープペンシルの芯を送り出すときのような形で、少しずつ流動食を押し出すのがおすすめです。
入れるスピード
入れ方は、とにかくゆっくりとしたスピードと少量にすることが大切です。
猫からすると、勝手に口の中に液体が入ってくる上、入ってくる量を自分で調整できません。
まずは少しずつ、舐められる程度の量をいれましょう。
猫の姿勢に注意
シリンジを使って流動食を与える場合、まず猫を抱っこして体を起こし、伏せているような状態にしましょう。
その後、顔を斜め上にあげてから与えます。
口の端にシリンジを差し込んで、ゆっくりと口の中に向けて流動食を出していきましょう。
このとき、猫が口を開けないことがありますが、口の端から頬に入れてあげれば食べられるでしょう。
食べ終わった後も、少しその姿勢をキープします。
すぐに横になりたがるかもしれませんが、食べたものが食道で詰まることや、逆流してくる恐れがあるので様子を見てあげてください。
流動食の温度に注意
市販の流動食を使うときでも、自家製のときでも、ぬるま湯で温めてあげることで食べやすくなることがあります。
久しぶりの食事に対して、おなかがビックリしないという利点もあります。
そんな時は、シリンジに入れる前に温度を注意してください。
口の中を火傷でケガをしてしまった場合、ますます食欲不振になってしまう恐れがあります。
かならず手の甲に出してぬるいかどうかを確認の上、くれぐれも火傷に注意してください。
鼻チューブで与える方法
食欲が落ちている猫に対しては、基本的にシリンジで流動食を与えるのが望ましいです。
しかし、飲み込むことがままならないという状態の場合には、鼻から専用のチューブ入れて食べ物を送ります。
この鼻チューブは下記のように呼ばれることが多いです。
- 経鼻チューブ
- 鼻カテーテル
- 経鼻経管栄養
- 鼻腔経管栄養 など
文字通り食道に向けて鼻からチューブを入れます。
直接胃の中へ流動食や薬などを送り込むことが出来るので、どうしても口から食べられないという場合に使われます。
鼻チューブに切り替える目安
主に高齢猫に多いですが、毎回の食事をシリンジ経由で取るだけでは必要量が足りなくなってきます。
「本人も飼い主も頑張っているけれど、どんどん体重が減っていく」という状態になった場合、かかりつけの獣医に相談しましょう。
簡単に取り外せる
高齢猫が原因ではなく、病気などで食べれない状況が続いている場合、治療によって症状が回復したタイミングで鼻チューブは取り外すこともできます。
あまり深く思い悩まず、シリンジが難しくなった段階で切り替えるというのも手かもしれません。
鼻チューブの導入方法
鼻チューブを付けるには、獣医のもとで手術をすることになります。
手術と言っても、チューブを鼻から胃に通し、数か所に固定するだけなので、部分麻酔をするだけで済む短時間の手術です。
チューブの長さは、猫のサイズにもよりますが大体30㎝です。
高齢猫でも受けやすい手術
全身麻酔をしなくていいこともあり、高齢猫でも受けやすい手術となっています。
見慣れないと「痛いのかな」と心配になりますが、体への負担は少ないでしょう。
毎回の食事の挿入方法
チューブは細く、詰まる恐れがあるため、なめらかな流動食しか送ることができません。
市販の流動食でも液状のものを選ぶか、粉ミルクを選ぶ必要があります。
口を経由する場合と違い、チューブ経由で直接胃の中に届けるのがこの方法です。
愛猫がビックリしないように注意する点が二つあります。
温めておくこと
まず一つ目は、流動食をぬるま湯程度に温めておくことです。
急におなかの中に急に冷たいものが入ってきたら、ビックリしてしまうため注意する必要があります。
ゆっくり少しづつ与えること
二つ目は、少量から始めることです。
チューブが途中で詰まらないように、そして愛猫が驚かないようにゆっくりと入れていきましょう。
鼻チューブでの食事回数
猫にとって必要な食事量を摂るには、1日に4~6回の注入が必要とされています。
回数は多くなりますが、シリンジよりも確実に食べさせることができるので、必要な栄養素は採れることになります。
負担が少ない
見た目は少し苦痛そうという印象を受けますが、実際のところシリンジで無理やり食べさせるよりもよっぽど簡単な方法です。
愛猫にも飼い主にも負担が少ないというメリットがあります。